細菌の特徴

大腸菌

大腸菌は、健康な人の大腸内で生きている微生物で、環境中にも広く分布しています。

しかしながら、腸管出血性大腸菌O157など、ある種の大腸菌は、人の下痢や腹痛などといった症状を引き起こします。

胃腸炎を起こす大腸菌を“病原大腸菌”あるいは下痢原性大腸菌と呼んでおり、病原大腸菌は、一般的には5種類に分けられています。

腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管出血性大腸菌(EHEC)、腸管凝集接着性大腸菌(EAggEC)

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、「食中毒」の原因となるだけでなく、「おでき」、「にきび」や、「水虫」等に存在する化膿性疾患の代表的起因菌です。
顕微鏡で拡大して見ると、ぶどうの房のように菌が集まっていることから、「ブドウ球菌」と呼ばれるようになりました。
、私たちの髪の毛や皮膚、鼻の粘膜、口腔内、傷口

黄色ブドウ球菌は、非常にありふれた菌で、動物の皮膚、腸管、ホコリの中など身近にも存在しており、健康な人の髪の毛や皮膚、鼻の粘膜、口腔内、傷口などでも高い確率で検出されます。

黄色ブドウ球菌が食品の中で増殖する時に、エンテロトキシンという毒素をつくり、この毒素を食品と一緒に食べることにより、人に危害をおよぼすと言われます。

黄色ブドウ球菌は、熱で死滅しますが、毒素は100℃20分の加熱でも分解されません。
また、酸素のない状態でも増殖ができ、多少の塩分がある環境でも毒素を作ることができます。

様々な食品が原因食となる可能性を持っており、にぎりめし、寿司、肉、卵、乳などの調理加工品及び菓子類など多岐にわたっています。

潜伏期間:平均約3時間(30分~6時間)
主な症状:はき気、おう吐、腹痛(下痢を伴うことも有り)※一般に高い熱はでません。

緑膿菌

緑膿菌イメージ
緑膿菌は、栄養分の少ない場所でも増殖することができ、水周りによくみられます。
人間の腸管の中をはじめ、自然界に広く分布しています。

緑膿菌は、健常者に件戦しても発病することはありませんが、免疫力の低下した人に感染をすると、日和見(ひよりみ)感染症のうちの1つである緑膿菌感染症を起こします。

※日和見(ひよりみ) 感染症とは、免疫力が低下したときにかかる、さまざまな感染症や病気のことをいいます。

MRSA

mrsaイメージ
methicillin‐resistant Staphylococcus aureus(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
抗生物質メチシリンに対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌を「MRSA」と呼んでいます。

耐性菌は抗生物質の乱用により出現するため、薬剤の使用が多い病院で見られることが多く、入院中の患者に発症する院内感染の起炎菌としてとらえられています。

薬剤耐性を獲得した「MRSA」が免疫力が低下した患者に感染すると、日和見(ひよりみ)感染を起こしますが、ほとんどの抗生物質が効かないため、治療が困難とされています。

サルモネラ菌

サルモネラ菌イメージ
サルモネラ菌は、汚染を受けた食品の摂取により起こり、高熱を発するのが特徴です。
鶏、豚、牛などの動物の腸管や河川、下水など自然界に広く分布しており、2,500種類以上もの血清型が知られています。
これまでサルモネラ菌の発症には、大量の菌が必要と言われていましたが、最近では少量の菌でも発症をすることが分かっています。

肉や卵などを原材料とした食品(加工品を含む卵、食肉調理品(特に鶏肉)、うなぎやスッポン等)やネズミやペット動物を介して食品が汚染されるなどが感染の原因となりやすいと言われています。

潜伏時間:6時間から72時間
主な症状:腹痛、下痢、おう吐、発熱(38℃~40℃)

腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオイメージ
腸炎ビブリオは、魚介類の刺身やすし類、また調理器具や手指などを介して二次汚染された食品でも食中毒が発生しています。食中毒の発生時期は、海水温度が上昇する5月~6月頃から増え、7月~9月に集中します。

腸炎ビブリオは、沿岸の海水の中や海泥の中に生息しており、水温が15度以上に上昇すると活発に活動をすると言われています。したがって、海水温度が高くなると、海水中に腸炎ビブリオが多くなるため、魚介類に腸炎ビブリオが付着し、流通の過程や不適切な調理によって増殖をし、食中毒の原因となります。
腸炎ビブリオは、増殖能力が高く、他の食中毒菌よりも増殖が速い特徴がありますが、
水道水の中では増殖ができません。

潜伏期間:8時間から24時間(短い場合で2、3時間)
主な症状:激しい腹痛、下痢など(発熱、はき気、おう吐も有り)